セックスレスの辛い辛い新婚旅行

結婚したきっかけ

結婚願望はお互いなかった

だんなさんとは５年付き合って結婚した。

１８歳の終わり頃から付き合っていたから、わたしはだんなさんがはじめての人。

結婚に興味がなかったので、したくなかった。結婚に魅力を感じていなかった。子どももあまり好きではなかったし、自分は結婚して子ども生んで、幸せな家庭を築くというイメージがなかった。

当時、付き合っていた頃のだんなさんにもそれは伝えていた。

でもお互い仕事で体調を崩す中で、支え合って生きたいという気持ちが出てきたんだと思う。

それは別に結婚という形でなくてもよかったのかな、とやっぱり今でも思う。

結局事実婚という道を私達は選ばず、結婚という形態を選んだ。社会的に認められているやつ。

新婚旅行は南の国へ

コテージでの５日間

二人だけで海外挙式をした。南の国で。新婚旅行も兼ねて。

二人だけで過ごせる海上のコテージに泊まった。

お部屋の床は一部透明になっていて、海の中が見える。お魚が見える。

大きなベッドはふかふかで、南国風の梁のたくさんある素敵なコテージだった。

そのコテージで５日間過ごし、私達は一度もセックスをしなかった。

着いた日は、長旅の疲れもあり、仕方ないかなと。

二日目は、挙式の打ち合わせもしたし、いるかウォッチングも行って疲れたし、仕方ないかなと。

三日目は挙式の日。挙式した日の夜も、ドキドキしていたけどなにもなかった。

挙式した日くらいなにかあるだろうと思っていたけど、なにもなかった。

ベッドに入ったら早々に、だんなさんのいびきが聞こえてきた。高い天井で回っているファンを見ながら、虚しくて、納得いかなくて、なかなか一人寝付けなかったことを覚えている。

翌朝に期待したけど何もなかった。少しちょっかい出してみても、なにもなかった。

いつものことだから。挙式したからって変わらないし、南の国だからって変わらない。素敵なコテージ、素敵なベッドでもなにも変わらない。

わたし、きっと性欲の強い恥ずかしい人だから、普通になりたいと思っていたから、セックスしたい気持ちをなかったことにして、楽しく過ごした。

外出先からコテージに戻るたび、いい雰囲気になるように頑張ってみたけど、やっぱりわたしは女性としての魅力が足りないし自信もないので、セックスの対象として見てもらう権利なんてないと自覚していたから、そんなに積極的になれなかった。

日頃疲れている彼に申し訳ない。せっかくの旅行中くらいのんびりさせてあげたいと思った。

私ってダメだな、思いやりが足りないなって、新婚旅行だからってその気になっている自分を恥ずかしく思った。

４日目の無人島で

離島に行くための船着き場に、前日挙式したときのお手伝いの青年に偶然会った。

プライベートだったのか、お友達といた。わたしたちを見つけると、ちょっと挨拶して、隣の友達になにか耳打ちして盛り上がっていた。

言葉はわからなかったけど、頭の中が「新婚旅行中にセックスしてない」焦りでいっぱいの私には、彼らの会話がわかった気がした。

「昨日この二人、新婚初夜だったんだよ」「まじで？じゃあ絶対昨日の夜ヤってるよね？ウハハ～！」

被害妄想かな 笑。でもお友達と話している様子見て、その反応がなんだかとても恥ずかしくて私はついうつむいてしまった。

セックスレスも長くなると、セックスレスの自分を肯定するために、周りを見下すようになる。

私達は、あんな下劣な行為はしない。セックスなんかしている新婚夫婦より、私達はもっと神聖で深い関係なんだ。毎日セックスしているかのような目で見ないで欲しい！

翌日は帰国だったので、焦りはピークだった。

このままセックスしないで旅行を終えるのか。どうしたらその気になってくれるのだろう。

無人島でもだんなさんはお昼寝ばかりしていた。小さな島は二人きりの貸し切りだった。

迎えの船が来る３０分前に、寝起きの彼のを舐めて、むりやりセックスをした。

騎乗位９割、フィニッシュのための正常位１割。

いつものように、ビキニの下だけ脱がされて。ビキニの上に付かないように、お腹に精子を出していた。

５分間位の出来事だったと思う。とにかく、とにかく焦っていた。愛も何も感じないレジャーシートの上のセックスだった。

帰りの船で夕暮れてきて、私の新婚旅行は終わったな、と思った。

あんな形でしかセックスできなかった。悲しかった。

翌日の朝も早かったので、もうセックスのことなんて考えるのやめた。

一生に一度の新婚旅行は終わった

とにかくセックスはした。あまり思い出したくないセックスだったけど。

帰りの飛行機でも、昼間のフライトにもかかわらず、だんなさんはほとんど寝ていた。

わたしはその間に、だんなさんに手紙を書いた。

結婚して、一緒に暮らすことになるから、これからの想いとか、許して欲しい怠け癖とか、だらだらだらだら書き続けた。

セックスのことは、触れなかった。字にすることはできなかった。

ほんとはいっぱい話したかったんだ。飛行機から見える、真っ青な空も雲も一緒に見て感動したかった。

新婚旅行の思い出。つらい気持ちばかり思い出す。