PCMAXで出会った僕と彼女。彼女の過去がとても気になるんだ②

W不倫のトラブル・悩み

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仕事帰りの彼女を捕まえる

彼女の職場の最寄りの駅に着いた。時間は5時、彼女の仕事の終わる時間になる。彼女の歩くルートを逆に辿る。彼女を見落とさないように地下道を足早に歩く。

どちらの出口から入って来るだろう?A8かそれともA7?たぶん、A8を通るはず。階段を上がり地上へ出る。大通りの横断歩道に到達する。そこに彼女の姿はない。

まだ先にいるのか、違う出口から地下へ入ったのだろうか。もし、既にすれ違っているならば今日はそんな運命なのだろう。その場合には電話をすればいいけれど、その電話に彼女が出てくれるかどうか。そんなことを考えながら、彼女の勤め先がある路地へ入る。

緩やかに下る長い直線の道の先に、彼女が歩いてくるのが見えた。彼女も僕に気づき、驚いたように立ち止まる。僕はゆっくりと彼女に近づき、「お疲れ様」と声をかけ、一緒に歩き出す。

「なんでここにいるの?」と彼女。 「早上がりした」と僕は答える。

「仕事はどうしたの?忙しいはずでしよ?」と彼女、「うん、帰ってから夜する」と答える。「狂ってる、どうかしてる」と彼女。

「ちょっと飲みに行こうか」と彼女に提案する。

「今日の約束、来ないと思ったから、迎えに来たの?」

「そう。来ないと思った。」と僕。

「確かに会うのやめようかとも思ってた。あと、この関係性もお休みにしようかとも思ってた。」

オイスターバーへ

駅ビルの中にオイスターバーがある。そこに入る。いつも混み合っているのだけれど、少し早い時間だからか閑散としている。

スパークリングワインで乾杯する「すんませんー」と僕は少しふざけて見せて。彼女はふんと、口を尖らせて、軽く僕を睨み付ける。今日は全く食欲が湧かなかったらしい。

「私の何を理解したというの?勝手な想像で私の過去を完結させないで。聞かれたら私はちゃんと答える。」彼女は強い口調でそう言ってきた。

僕は答える。「本当に?なかなか教えてくれなかったじゃない。小出しに断片的な情報を僕に与えるだけでさ。だから僕はそこから想像するしかなかった。」

3ピースづつ生牡蠣を頼み、ワインを飲みながら話す。

「じゃあ聞いてもいい?いずれサイトに体験談を載せるんだろうから。その前に僕に聞かせてよ」

彼女は話し始める「やっぱ生牡蠣、美味しいねー」と言いながら。牡蠣好きな彼女。昔し食べ過ぎて少しの間、牡蠣アレルギーになったらしい…

彼女の思惑は僕の想像を超えていた

「そもそも、出会い系で既婚者同士が会うんだよ。もう、そのこと自体ふつうの出会いではないじゃない?
私はそれでも、その出会い方を選んだ。それしかもう、なかったのだから。

結婚している者同士だから、リスクがある。メールのやり取りをして、この男性なら安全、話が合いそうと判断してから会うことになるよね。
普通の男女のお付き合いのように進むとは思わない。清く正しく何回か会ってみて、相手を決めようとか思ってなかった。だっていい大人の男女だよ?しかも既婚者同士。ふつうのお付き合いとは違うんだよ?」

僕は意外だった。とてもびっくりした。

彼女は初めから、実際に起ったようなこと…キスだって、体の関係だって…いろんなことを想定した上で、PCMAXで出会いを求めていたとは。驚いた。彼女がそれを良しとしていたことは、僕にとって想定外だった。だから疑問だったんだ。展開が早いはずだよ。

「あなたと同じように、会った日にもっと私のことを知りたい、仲良くなりたい、近づきたい。そう言ってホテルに誘う人もいた。
断ったよ、もちろん。けっこう粘って抵抗した。でも、もっと親しくなりたいのにどうしてと言われたら、なんて答えればいいの?私、男性を困る状況に追い込むのは苦手。お人好しかな。でも、その人は、これからも長く一緒にいられればと言ってくれる人だった。これから関係を作っていきたいと思っている相手に、そう言われたら、受けてしまうのはそんなにおかしいこと?」

確かに。僕もそうだったかもしれない。

最近彼女にどうして私をホテルに誘ったのか訊かれた時も、そう答えた。「もっときみのことを知りたかった。もっと深く繋がりたかった」と。

「それにね、私にとってセックスは、そんなに重要な一歩ではなかった。初めて旦那さん以外の人とセックスした時も、あぁこれがセックスだよな、こんなものかと思っただけで、なんの罪悪感もなかった。もう、私は決心がついていたの。PCMAXという出会い系に登録して、旦那さん以外のパートナーを探そうと決めていた時から。軽いと思う?そう思われても仕方ないね。

セックスレスだったけど、別に体だけ満たされればそれでいいと私は思っていなかった。だから、セックスした後に、またすぐに会う約束をして、本当にこの人は自分に向き合ってくれるのか確かめるのが私の流れだった。
もちろん、一回限りの体の関係の相手を選んで会っていたわけではなかったから、一回セックスをしたからといって、音信不通になる人はいなかったよ。関係はそれなりに進んでいる、深くなっていると思っていた。」

僕は彼女がPCMAXでそういった出会いを探していたのかと、意外だったけどやっと理解した。

僕は男性だから、話を聞きながら、甘いなとは思ったけど。やっぱり彼女は男性のことをわかっていないと。もう一歩で体の関係になれるとわかれば、男性だってそりゃあ攻めるだろう。

「以前付き合っていた既婚者の男性は、私の前にも不倫を繰り返してきていて、そのトキメキが忘れられないという人だった。不倫は若さやモチベーションを保つための必要悪だと。
家庭は家庭で、私と会う時だけは恋人のように楽しみたいという人だった。彼を選んだということは、私はその条件に乗ったということだよね。」

「でもだんだん私は、不安に感じる時間が多くなってきた。私のことをいつでも思い出して欲しくなってきた。私を必要として欲しかったんだよね。ひとりになりたくなかった。
正直に彼に不安だと伝えて、きちんと話し合ったりもしたんだよ。彼は向き合ってくれて、これからは忙しい時は忙しくて会えないと伝える努力をする、と言ってくれた。でも、実行はしてくれなかった気がする。
会っている時は向き合ってくれる。でも、普段の生活からは私の存在は彼の中で消されているような気がして、恋愛感情はなかったけど、とても寂しくて不安な気持ちで一杯になったの。

わたしは、わたしの存在を認めてくれるパートナーを求めていたみたい。それを自分自身もわかっていなかった。私も悪いよ。」

「彼にとっては、誰でもよかったのかもしれないね。会っている時間とセックスを楽しむことさえできれば。でも、それを責めることはできないよ。その条件に乗ったのは私だもの。」

彼女は少し寂しそうにそう言った。

「平日の午後に、彼の会社近くのラブホテルで会うことも多かった。彼は社長さんだったから、時間は作りやすかった。でも、なんだか都合のいいように呼び出されている気がしてきて、だんだん、これってデリヘルと同じじゃないかしら?と悩むようになった。無料のデリヘル。」

「会っている時は、恋人のようにベタベタしてくる。いいように使われているとあなたは言うよね。でも、違うと思うの。ただ、私が求めているものと、この人が求めているものが違うんだってことに気づき始めたんだよね。」

「あなたが想像しているような、騙した騙されたとかでは無いの。私が彼の条件に乗ったの。初めからそれは伝えられていたこと。僕はそういう人を探しています、と。私も初めはそれでいいと思ってた。でもだんだん、自分が本当に求めていることに気づき、それが彼の思い描く関係とは違っていただけなんだ。」

「だから、他のパートナーを探そうと、切り替えた。そして、出会えたのがあなただった。」

「なるほどねー」と僕は答える。「僕は、きみのそもそもの前提条件を見誤っていたよ。既婚者だから、女性はただ話を聞いてくれるような男性を探しているのかと思っていた。で、その関係性が進んで行く中で、大人の関係になってもいいかと。そんなロングスパンなのが既婚者の付き合いなのかと思っていた」と。

すると彼女は間髪いれずこう言った。「あなたも直ぐに私に手を出したじゃない。他の男性もあなたも、何も変わらない。出会い系サイトに居る男性なのよ。
もっと私のことを知りたいとか、同じこと言う。常套文句じゃない?」

彼女の中で、こんな男性と同じ括りにされているのか。それはたまらないなと正直思った。僕は目的が違ったからね。

「そうかもな…。でも楽しかっただろうな、前にきみと付き合っていた男性。」と僕は話を変える。

「そうだろうね。楽しかっただろうね、向こうにしてみたら。でもめんどくさい女だなと思い始めていたんじゃない?

だんだん毎日長文で来ていたメッセージが短くなり、回数も減ってきて。とても不安だった。24時間メッセージが来ない日は不安で気が狂いそうだった。こんなに心が乱されるのはよくないと思って、他の人を探し始めた。」

ワインを口に運び、最後の1ピースの牡蠣を食べる。「ほんと美味しいねー」と彼女は喜ぶ。
そんなはしゃぐ彼女を僕は眺める。

周りが賑やかになって来ていた。閑散としていたテーブルがいつのまにか満席になっている。席を待つお客さんもいる。時計を見ると、7時になっていた。「どうする?」と彼女に聞く。「どうしようか、まだ7時なんだ」と彼女は答える。

「珈琲でも飲もうか」と取締役の迷文句を笑いながら伝える。「ホントやな感じだよー」と彼女も笑った。 そして僕らはお店を後にした。

彼女の過去を理解したが…

この日僕が理解したことは、彼女は、僕が想像していたような慎重な前提条件で、男性たちに会ったわけではなかったということだった。

彼女は既婚者同士の出会いは、そういうものだと割り切って当時出会っていたということ。それなら展開が早いのも理解できる。

まぁ、そんな心理状態に、当時彼女が追い込まれていたということでもあるけれどね。

彼女を理解できたと思った。この日は。もう聞くことはなにもないと思った。

しかし、彼女と付き合っていた前の男性は、彼女をもてあそんだに違いないという僕の気持ちは変わらなかったみたいだ。

彼女とセックスだけ楽しんで、都合よくキープして。関係に対して不満を持つ彼女の体を支配して奉仕させて。楽しかったに違いない。

ラッキーだよな、この男性。

彼女は条件に乗った自分が悪いと言っているけど、上手く彼女をつなぎとめて、要領よくうまく運んだよな。相手に乗った自分が悪いと思わせて。さすが出会い系サイトのプロ。しかも世襲の社長という立場も気に食わない。社員が汗水垂らして働いている間に、女性とラブホテルで楽しんでいるなんて。彼女の感覚はどうだったんだろう?

この時は、彼女を理解したようなふりをして、結局は理解していなかったのかも知れない。こんな男性に利用されていたなんて。いや、理解はできた、でも受け入れられなかったんだと思う。彼女の過去を。

彼女の過去のことなんて、もうどうでもいい、なんとも思っていないつもりだった。

この日は彼女といろいろあったけど、結局円満に一日を終えた。

僕は気にしていないと言いながら、彼女の過去の話を、過去の男性を、どうしても意識してしまうことになる。僕の一番嫌いなタイプだったからかな。比較されたくないし、その代わりみたいな気がした。僕もたいがいなことしているけど。

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